「ヘアサイクル」は耳にしたことあるけど、詳しくは知らないことってありますよね。
本記事を書いているわたしは、20代前半で前髪左右の生え際が気になりだし30代まで放置してきました、
結果、剃り込みが悪化したことをきっかけに、ヘアサイクルやAGAの勉強をはじめて治療を開始しました。
ヘアサイクルをこれから調べはじめる人の視点でわかりやすく解説しています。
本記事を読めばヘアサイクルの基礎だけでなく、本質的な理解ができるでしょう。
結論、ヘアサイクルとは1本単位で毛髪が成長しはじめてから抜け落ちるまでの周期のこと。
「成長期」「退行期」「休止期」の順で1周するため、周期が乱れると脱毛症状を引き起こします。
ヘアサイクルとは
髪の毛1本単位で生えてから抜け落ちるまでの周期をヘアサイクルと呼びます。
ヘアサイクルは生涯で約15〜20回繰り返され、1回あたり男性で約3〜5年、女性で約4〜6年程度。
1本1本サイクルは違うので抜け落ちる時期はランダムに起こり、基本的に一気に抜け落ちることはありません。
ヘアサイクルの周期
ヘアサイクルは髪が成長する「成長期」からはじまり、成長が鈍化する「退行期」、成長が完全に止まって抜け落ちる「休止期」の順に周期が巡ります。
ヘアサイクルの理解には各周期の特徴を把握するのがポイント。
各周期の特長をまとめたので、しっかり把握しておきましょう。
髪の毛の成長が活発になる「成長期」は、ヘアサイクル全体で約85%以上もの期間を占めます。
成長期はヘアサイクルの大半の期間を占めるものの、年齢やホルモンバランスなどの違いで実際に髪の毛が成長するスピードには個人差があるよ。
髪が育つメカニズムは、頭皮に点在する毛根のさらに奥にある「毛球」からはじまります。
毛球では以下のように毛母細胞が働き、髪の毛が育ちます。
- 髪の毛の源になる毛母細胞が毛乳頭から発毛指令を受ける
- 分裂や増殖を繰り返す
- 毛根から押し出されるようにして髪の毛が生えてくる
ちなみに、髪の毛は1日あたり0.3mm、1ヶ月で約1cmのペースで成長するようです。
厳密には毛乳頭の中心にあるFGF-7が発毛指令を出して毛母細胞の増殖を促進させる重要な役割を担う。
成長期にすくすくと伸びてきた髪の毛の成長が停滞する「退行期」。
髪全体の約1%程度が2〜3週間ものあいだ成長が停滞します。
髪の毛の成長には、毛乳頭からの発毛指令による毛母細胞の分裂・増殖が欠かせません。
しかし、退行期のあいだは毛乳頭の働きが悪くなり、発毛指令が受け取れずに成長が進まなくなってしまうのです。
退行期を過ぎると約2〜3ヶ月のあいだ髪の毛の成長が完全に停止するのが「休止期」。
髪全体の約10〜20%を占め、毛乳頭細胞が収縮して髪の毛に充分な栄養が行き渡りません。
成長が止まるのと並行して「発生期」に向かうタイミング。
発生期は古い髪の毛が新しい髪の毛に押し出されるようにして抜け落ちるのが特徴。
そのため、洗髪やブラッシングなどわずかな力でも簡単に抜けてしまいます。
通常であれば1日に約50本〜150本程度が抜け落ちるとされている。
ヘアサイクルが乱れるってどういうこと?
成長期に髪の毛が充分に育つ前に抜け落ちて、通常の周期よりも成長期が短くなること。
髪の毛1本単位でヘアサイクルの周期は異なるため、短期的な見た目では変化を感じにくいかもしれません。
成長期が短縮された状態が続くと抜け毛部分から地肌が目立つようになるかも。
ヘアサイクルの乱れとAGAの関係とは
ヘアサイクルの乱れとAGAは現象としてはほぼ同じものです。
進行性の男性型脱毛症をAGAと呼び、男性の脱毛症状の大半を占めるとされているのだとか。
日本皮膚科学会のガイドラインにはAGAを次のように定義され、ヘアサイクルが乱れる現象とほぼ同義であることがわかりますね。
男性型脱毛症とは,毛周期を繰り返す過程で成長期 が短くなり,休止期にとどまる毛包が多くなることを 病態の基盤とし,臨床的には前頭部や頭頂部の頭髪が, 軟毛化して細く短くなり,最終的には頭髪が皮表に現 れなくなる現象である (“男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版”)
ヘアサイクルが乱れる原因
ヘアサイクルが乱れる原因には、4つ考えられます。
- 生活習慣
- ストレス
- 気候変動
- 加齢
どれも日々の生活に密接に関係し、お互いに悪い影響を与え合うことも珍しくありません。
生活習慣の乱れには睡眠不足、喫煙、過度な飲酒、栄養を欠いた食事、運動不足の5つの要因が関係しています。
睡眠不足 | 睡眠中に成長ホルモンが分泌されます。睡眠の質や時間が不足すると髪の毛が充分に成長できません。 |
喫煙 | ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くしてしまうので髪の成長に必要な栄養を運べずに成長を阻害してしまう。 |
過度な飲酒 | 髪の成長に必要な亜鉛を消費してしまい、栄養が不足してしまいやすい。 |
栄養を欠いた食事 | タンパク質やビタミン、ミネラル、亜鉛といった、髪の毛の成長に必要な栄養素を摂取できないと頭皮環境の悪化を招く。 |
運動不足 | 筋力低下で血液のめぐりに悪影響を及ぼし、頭皮へ送られる血液量が減少すると充分な栄養が行き渡りづらくなる。 |
どれも血行不良や頭皮環境が悪くなり、髪の毛の成長に必要な栄養素が不足する可能性があります。
過度なストレスが慢性的に続いた場合、ヘアサイクルが乱れて抜け毛の原因になります。
日本皮膚科学会雑誌において、モルモットで行った実験で「ストレスは肉眼的に被毛成長を低下させる」ことがわかったとのこと。
ストレスではげることが明らかになったということですね。
人は自律神経のバランスを崩すと交感神経が優位に働きます。
交感神経が優位に働くと血管の収縮や炎症をきっかけとした血行不良を招く危険が考えられるでしょう。
血行不良になると毛根へ供給されるはずの栄養が行き届きづらくなり、ヘアサイクルの乱れに繋がるのです。
自律神経については「【自律神経とは】概要をサクッと解説!乱れる原因や整え方もわかりやすく紹介」でも解説しているので参考にしてください。
参照元:公益社団法人 日本皮膚科学会|日本皮膚科学会雑誌 111 (1), 21-26, 2001
季節の変化によってもヘアサイクルは乱れてしまいます。
特に春と秋に頭皮環境が大きく変動することもあるとか。
季節 | 原因 |
---|---|
春 | 新生活など心身にストレスを抱えやすく、自律神経のバランスが崩れて血行不良に至る。 |
秋 | 夏に受けた紫外線のダメージが蓄積すると頭皮環境を悪化させる。 |
他にも、春には花粉の飛散によってアレルギー反応が起こり頭皮の炎症に。秋には空気が乾燥して抜け毛が多くなる傾向にあります。
人の身体は年齢を重ねると徐々に衰えるように、髪は細胞から衰えていきます。
髪の毛を生成するには毛球の毛母細胞が分裂や増殖といった働きが欠かせません。
ところが、20代・30代以降から徐々に細胞が衰えてうまく機能できなくなってしまうのです。
細胞が衰えれば、髪の成長に必要な栄養素や酸素が血液によって供給されづらくなり抜け毛の原因になるということですね。
毛母細胞の衰えには個人差があり、筋力などの運動能力の低下具合によって差が生じることが考えられるでしょう。
また、女性ホルモンのエストロゲンはヘアサイクルの成長期を延ばす役割があります。
エストロゲンは加齢で過度に減少しやすく、特に女性は細く弱い髪の毛が増えてしまいやすいとされる。
乱れたヘアサイクルを正常化させる方法
ヘアサイクルが乱れると正常化させるためには長い期間を要する場合がほとんどです。
今回はAGA、生活習慣、ストレスの3つに焦点をあてた解決方法を紹介します。
AGA治療は医学的に確立された実現性の高い治療方法です。
症状の状態にもよりますが、内服薬と外用薬を使った投薬治療が一般的です。
投薬治療は原因物質に直接はたらきかける方法なので、高い効果が期待できるでしょう。
内服薬は1日1錠、外用薬は1日2回、早ければ3ヶ月で変化があらわれることもあるよ。
他にも生活習慣の改善やストレスケアが挙げられますが、AGAが原因の場合は根本的な改善にはなりません。
生活習慣を改善するには食事、睡眠、運動、喫煙を見直すのが最も王道な方法です。
食事 | 髪の毛の成長に必要な3大栄養素のタンパク質、ビタミン、 ミネラルの他、ケラチンや亜鉛をバランス良く摂取する。 |
睡眠 | 良質な睡眠を6時間から8時間とれるように就寝前はブルーライトを 浴びないようにして、朝は決まった時間に起床する。 |
運動 | 毎日少しずつ歩く歩数を増やしたり、階段を使ったり、余裕があればジョギングや筋トレをするなど運動を取り入れる。 |
喫煙 | たばこは身体の老化を早めてDHTの生成を抑制する亜鉛を消費するため、一刻も早く禁煙する。難しければ量を減らす。 |
健康的な生活をおくるように生活習慣を見直しましょう!
ストレスが原因の場合、自律神経のバランスが崩れている可能性が考えられます。
現代では交感神経が優位に働きすぎて充分な休息を取りづらい世の中。
心身ともにリラックスさせて、副交感神経が優位に働くように調整する必要がありますね。
例えば、読書で物語や世界観に没入したり、適度な運動で気分を晴らしたり、Ⅰ日なにもしない完全休養日をつくったり、マッサージで身体をほぐしたりなど、人によってリラックス方法はさまざまです。
副交感神経が優位な状態をつくるためにも、自身にあった方法を探してみましょう。
ヘアサイクルが乱れたら早めの治療が大切
ヘアサイクルが乱れると正常なサイクルに戻すには早く人で3ヶ月、遅いと数年を要するかもしれません。
男女問わず髪の毛1本単位でランダムに脱毛症状が起こるのが特徴。
一度に抜け毛が起こる可能性は低いので、抜け毛の初期には気づきにくいかもしれません。
AGAが原因の場合は自然治癒は望めず、放置してしまうと投薬治療では手遅れになることも。
AGAが原因の場合は専門の医師から適切な診察を受けて早めの治療をおこなうようにしてください。